いま注目されるシェアド・リーダーシップ
2023年01月10日
さまざまな環境変化にすばやく対応することが求められる企業において、一人のリーダーが強いリーダーシップを発揮するのではなく、職場やチームに所属するメンバー全員がお互いにリーダーシップを発揮し合う「シェアド・リーダーシップ」が、一つの選択肢として注目されています。
目次
1.リーダーシップとは
2.シェアド・リーダーシップ
3.シェアド・リーダーシップの効果
4.さいごに
1.リーダーシップとは
①成果をだす動向
適正なプロセスを使用して、組織単位、部署単位のリソースを使用することによって継続的に成果を出す
②問題を解決する動向
組織単位、部署単位で各チームメンバーの能力を引き出して、問題を解決する。
③パフォーマンスを高める動向
チームメンバーのパフォーマンスを高め、キャリアを開発する
2.シェアド・リーダーシップ
シェアド・リーダーシップは英語でshared leadership「統率の分割・共有」のことを意味します。
ビジネスを粛々と進めるだけということであれば、トップダウン型リーダーシップでも有効です。
しかしながら、デジタル化やビジネスモデルの刷新が進む、変化の激しいビジネス環境のもと、一人のリーダーの意思決定だけで対処しきれない状況が多数発生するようになりました。
また、必要とされるリーダーシップも、所属するセクションや状況によって多様化しています。そのため、リーダーシップの固定概念に縛られず、あらゆる変化に対して柔軟に対応できるリーダーシップの在り方について目が向けられています。
シェアド・リーダーシップは、メンバー全員が主体性を持ち、その場そのときで最適とされるメンバーがリーダーシップを発揮し、リーダー以外のメンバーは「フォロワーシップ」を発揮します。それにより、メンバーが互いに影響し合いながら目標に向かっていく好循環を可能とします。
3.シェアド・リーダーシップの効果
シェアド・リーダーシップは従来型のトップダウンにくらべ以下の効果が期待されます。
①業績の向上
個人がそれぞれリーダーシップを発揮して自立性をもって取り組むため、仕事に対する満足を生み、また、意思決定速度も高まります。さらに足りない部分を支え合うようにリーダーシップを発揮することで、パフォーマンスの最大化につながり、業績の向上も期待できます。
②アイデアの創出
従来の組織体制では役割分担を前提としており、専門分野の知識・技術を持つ社員は、自分の専門分野以外の事柄に意見を出すことは少なかったのです。しかし、シェアド・リーダーシップでは、チーム、組織、そして社会全体の視点まで幅広くカバーすることが求められ、イノベーションにつながる柔軟で独創的なアイデアの創出が期待できます。
③信頼関係の構築
シェアド・リーダーシップは組織の目標を達成することを重視しているため、メンバー同士が共通の目標に向けて互いに尊重する環境を醸成します。そして、結果的にメンバー同士の強固な信頼関係が構築されます。
4.さいごに
シェアド・リーダーシップを浸透させるには、組織の目標やビジョンを明確に定め、メンバー全員に共有し、気持ちの部分での強い動機付けを行うことがスタートとなります。また、メンバーそれぞれがリーダーシップの体験を通じて、主体性を向上させるとともに、PDCAサイクル(※1)、OODAループ(※2)を実施させ、リーダーシップの精度を高めること、リーダーが力を発揮できるようにフォロワーシップを高めることが重要となります。
環境変化の早い現代、生産性の向上や新規の取り組みを推進するのにあたって、シェアド・リーダーシップの導入を検討してみるのも良いでしょう。
※1:計画、実行、評価、改善の4つのプロセスを循環させ、継続的に業務効率化を進め、生産性を上げていくフレームワーク。
※2:観察、状況判断、意思決定、実行、ループで構成。リアルタイムで起きている環境変化に合わせて、現場レベルで判断・実行し、組織全体で目的を達成していくための意思決定プロセス。