オリンピック対策としても注目されている『テレワーク』

2019年07月01日

東京オリンピックが来年7月に開催されます。観光客の増加などによる交通機関混雑を緩和するため、政府は会期中のテレワーク活用を推奨しています。その一環として、昨年実施された『テレワーク・デイズ2018』に続き、今年も7月22日から9月6日までの約1ヶ月間を『テレワーク・デイズ2019』として、テレワークの一斉実施を呼びかけます。
今回は、近年の働き方改革の推進に伴いメディアでも多く取り上げられている『テレワーク』について、ご紹介いたします。

1.テレワークとは
ご存知の方も多いかと思いますが、『テレワーク』とは、「tele=離れた所」と「work=働く」をあわせた造語であり、一般的に、「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のことを指します。

2.テレワークの歴史
テレワークは、1970年代のアメリカ西海岸ロサンゼルスが発祥の地とされています。当時、ロサンゼルスではマイカー通勤による大気汚染が問題となっていました。さらに、石油危機によりガソリン代の高騰も相まって、「自宅で業務に従事する」という働き方が広まりました。
日本では、1980年代にバブル景気によって都心のオフィススペースの不足や通勤ラッシュの深刻化が問題となったため、サテライトオフィスを設置し、「勤労者の通勤負担軽減と生産性向上」を目的として試験的運用を実施したのが始まりです。
1990年代後半になると、インターネットを中核とした情報通信インフラの発展や、ノートパソコンなど携帯端末も普及してきたこともあって、テレワーク普及の環境が整ってきました。

3.テレワーク導入のメリット
テレワークは、社会・企業・就業者の三方向に対し、メリットをもたらすと期待されています。
総務省「平成29年通信利用動向調査」の結果によると、実際にテレワークを導入した企業において、「非常に効果があった」が24.5%、「ある程度効果があった」が57.3%となり、導入企業のおよそ82%が「効果を得られた」と回答しています。
昨年の『テレワーク・デイズ2018』に参加した企業・団体についても、以下のような効果や反響があったようです。

4.テレワークの普及状況
これまでテレワークのメリットを取り上げてきましたが、実際に導入を検討するとなると、情報セキュリティ体制や社内コミュニケーション手段、適切な労務管理の方法などについての不安や課題、また、そもそも「テレワークに適した仕事がない」といった意見が、壁として立ちはだかります。
平成30年に総務省が公表した「テレワークの最新動向と今後の政策展開」に掲載されている調査結果によると、米国のテレワーク導入企業率は85.0%と進んでいるのに対し、日本は13.9%(※従業員数100人以上の企業)という状況であり、導入に向けたハードルの高さが如実に表れています。
政府はそのような現状を打破すべく、テレワークの普及促進に向けて政府全体で連携を取り、2020年までに、「テレワーク導入企業を2012年度比で3倍」、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上」とする目標を掲げています。
テレワークへの取り組みに対する助成金や補助金の拡充、普及活動、導入企業への表彰などの取り組みの成果もあり、導入が困難とされている中小企業においても、着実に実績を伸ばしつつあります。
※以下のサイトをご参照ください。

厚労省:『働き方・休み方改善ポータルサイト テレワーク取り組み事例』
https://work-holiday.mhlw.go.jp/telework/case.html
総務省:『テレワーク情報サイト』
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/furusato-telework/search-case/index.html

5.まとめ
テレワークは、様々なメリットをもたらす半面、導入・運用においては多くの課題があります。しかし、働き方改革の推進と共に、政府や地域のサポートも着々と拡充されており、中小企業においてもIT企業に限らず様々な業種でテレワークの導入が進んでいます。
これから迎える労働力人口不足の問題も踏まえると、業務の効率化や、ワーク・ライフ・バランスに関する取り組みは“避けては通れない道”とも言えるでしょう。
はじめの一歩として、冒頭でご案内いたしました『テレワーク・デイズ2019』への参加や、中小事業主であれば申請できる『時間外労働等改善助成金(テレワークコース)』などを活用するのも一考です。
「まずは出来ることから」とお考えの事業主様がいらっしゃいましたら、弊所までお気軽にご相談ください。

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