イクボスについて

2017年05月01日

平成28年12月、塩崎厚労相と職員約60人が「イクボス宣言」を行いました。閣僚がイクボス宣言をしたのはこれが初めてで、また中央省庁の中でも随一の忙しさで知られる厚労省が宣言を行った事も考えると、大きな意義を持つ出来事であったと思われます。今回のニュースではそもそも「イクボス宣言」とは何を意味するのか、何を取組むべきか等についてお知らせいたします。

1. 「イクボス」「イクボス宣言」とは
法律上の用語ではない新語であるため厳密な定義は無く、解説する書籍やサイトによっても説明はまちまちです。平成28年9月に全管理職のイクボス宣言を行った東京都の小池知事は、管理職に向けて以下のように呼びかけました。
☐ 「イクボスとは、育児や介護の支援制度を活用しようとする職員を応援するボス」
☐ 「イクボス宣言というのは、上から変えていくこと。意識の改革、上司が育休やライフ・ワーク・バランスに理解を深めていただきたい。部下の皆さんに、安心して子育てを楽しむ時間を与えてもらいたい。このイクボス宣言を、自らに、心で、若い部下の皆さんにわかるように理解をし、実践をしていただきたい」

2. 「イクボスになる」ことの必要性
「イクボス宣言」は“イクボスとしての宣言を対外的に行う”というもので、それが強制されている訳でも、やらないからといって罰則が科せられる訳でもありません。しかし、企業におけるワークライフバランスを推進していく中で、管理職が「イクボスになる」ことの必要性は高まっていると言えるでしょう。
平成29年1月1日施行の改正育児介護休業法は、事業主・上司・同僚によるマタハラ・パタハラ等の防止措置を事業主へ義務付けております。その一方で、国は長時間労働を是正する取組を強化しており、育児・介護に参加しない従業員に多くの労働量を分配することに対しても、厳しい監視の目が向けられると考えるべきです。
つまり、企業は従業員の休業取得による労働力低下を前提として考えなければならず、限られた人員と時間で業務を行えるよう効率的な働き方を行っていく必要があります。それを達成するには、まさに「上から変えていくこと」が重要です。

3. イクボスになるには
上司・管理職は、事業主に近い立場から経営上の課題に挑む一方で、部下のプライベート等に配慮しつつ働かせなければならないという、難しい課題を背負っています。どのようにすれば、この2つを両立できるのでしょうか?それらのヒントとして、厚労省が毎年行っている『イクボスアワード』表彰の、グランプリ受賞者たちの実例をご参考として紹介いたします。

① 警察署の署長の場合…

② 建設会社の工事長の場合…

③ 製造会社の管理本部長の場合…

4. さいごに
事例を見ていくと、事業所全体に仕組みを作り、「イクボス」自身が率先して実践しているのが見て取れます。中小企業の管理職にとって「イクボス」になることは、ハードルが高いように思われるかもしれません。しかし、まずは皆で考えて推進していく協力関係こそが、制度の実践への近道かもしれません。

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