働き方改革実現に向けた対応策について

2017年05月01日

平成29年3月28日、政府は罰則付きで長時間労働を規制することなどを柱とした「働き方改革実行計画」の政府案を公表しました。4月7日には厚生労働省の労働政策審議会の労働条件分科会において具体的な議論が開始しており、年内の国会には本計画を基にした労働基準法の改正案が提出されると考えられます。本ニュースでは計画の内、全体像として対応策の概要と、目玉である労働時間の上限規制についてお伝え致します。

1. 働き方改革実行計画の全体像
本計画案は『働き方改革実現会議』で議論された9つの分野について具体的な対応策とロードマップを示したものです、ここでは、実行計画の全体像の把握として、下記表のとおり対応策をご案内いたします。

※働き方実行計画工程表から作成
2. 労働時間の上限規制について
本計画のなかでも、最も注目を集めるのは、長時間労働の是正の対応策として提示された罰則付き時間外労働の上限規制です。
時間外労働の上限自体は、原則はこれまでと同じです(一月あたりの残業時間の上限は月45時間、1年間で360時間)。しかし、現在は労使間で36協定を締結する際に『特別条項』を付けていれば、「臨時的に、限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、従来の限度時間を超える一定の時間を延長時間とすることができ」、使用者は最高で年に6回まで、上限時間を超える延長時間まで時間外労働をさせることが可能です。しかも、その時間の上限については、労使当事者間の自主的な協議で決定することができてしまいます。
しかし本計画では、労使間で合意があった場合でも残業時間は年720時間まで、さらに1ヶ月あたりでは休日出勤を含んでも『2~6ヶ月の平均で月80時間未満』、ないし『単月で月100時間未満』を守らなければならなくなり、違反した場合は罰せられることが示されています。
なお、上述の内容を織り込んだ労働基準法の改正案が、年内の国会に提出されることが予想されていますが、施行にあたっては十分に周知徹底する期間を設けて、段階的に施行していくことが示されています。

3. さいごに
罰則付きの労働時間上限規制は、施行から70年を経過した労働基準法の歴史の中で初めてのことで、働き方改革実現会議が自称するように「歴史的な大改革」であることは間違いないでしょう。しかし、月100時間の残業というのは、脳・心臓疾患の発症と過重労働時間との関連性が強いとされる『過労死ライン』でもあり、野党からは批判が出ています。働き方改革実現会議に民間議員として参加していた連合の神津会長は、「上限規制は第一歩に過ぎない。過労死をなくしていくための、スタートにしなくてはならない」とコメントしています。
そもそも上限規制に抵触するという以前に、効率的な働き方を実現し労働時間を削減することは、人口減少下にある我が国の喫緊の課題です。
前出の通り他にも、労働生産性向上に向けた対応策についても示されるなど、働き方改革の実現に向けて、ロードマップが組まれた10年の間に、関連法改正等を通じ順次具体化していくことになるでしょう。ただ、法改正を待たずに、この対応策の中から自身の企業では何ができるのかを考えていくことが、10年より先の未来に企業を存続させる秘訣かもしれません。

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