日本の女性活躍の現状

2018年05月01日

本年2月、厚生労働省の『平成29年賃金構造基本統計調査結果の概況』で、女性の賃金は過去最高で、男女間賃金格差が過去最小となったことが公表されました。一方、昨年11月公表の世界経済フォーラム『ジェンダーギャップ指数2017』は、日本の男女格差が調査対象144か国中114位で、昨年から3つ順位を落としたと伝えています。本稿では、調査結果の賃金格差を紐解きながら、日本の女性活躍の現状についてお伝えいたします。

1.縮小すれども、なお大きな賃金格差
本調査結果の概況は、10人以上の常用労働者を雇用する全国5万弱の事業所について集計したもので、昨年6月の所定内給与額(残業・休日手当などを除く)を対象としています。
その内、賃金格差を見てみると下図(同概況から抜粋)のとおり、男女の賃金格差は順調に縮小していますが、それでも3割近いギャップが存在しています。

2.低水準な女性管理職登用と、その理由
 厚生労働省『男女間の賃金格差解消のためのガイドライン』では、“平均勤続年数”や“管理職比率”に差異があることが賃金格差の主要因としています。特に、女性の管理職登用の面で見ると、日本の男女平等に向けた取組みのなかでも、とくに進捗の鈍い分野といえ、国際比較でみても低水準となっていることが下図を見ても分かります。

上述の通り、国際的な状況をみるに、やはり日本の女性の活躍は遅れていると言えるでしょう。女性管理職が少ないことについて、会社と女性それぞれの意見をまとめると、以下のような理由があるようです。
~女性役職者が少ない理由(会社の意見)~
☐ 現時点では必要な知識や経験、判断能力などを有する女性がいない
☐ 可能性のある女性はいるが在職年数など満たしていない
☐ 勤続年数が短く、管理職になるまでに退職する
☐ 女性が希望しない
☐ 家庭責任が多いため、責任ある仕事に就けることができない
(厚生労働省『雇用均等基本調査』(平成23年)より抜粋)

~昇進を望まない理由(女性の意見・男女のギャップが大きいものを掲載)~
☐ 仕事と家庭の両立が困難
☐ 自分の雇用管理区分では昇進可能性がない
☐ 周りに同性の管理職がいない
(独立行政法人労働政策研究・研修機構「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果」(平成24年度)より抜粋)

3.さいごに
このような理由を受けて、国では仕事と家庭の両立支援に加えて、ロールモデルの確立や、能力に応じた登用の機会の拡大等が必要として、様々な施策が検討されています。また、企業としては労働力の確保が求められており、一方、労働者としては働き方に対する考え方の変化などがあり、仕事と家庭の両立支援の状況は旧来とは変わりつつあります。
両立支援体制が整っているということは、優秀な労働力を確保し、また雇用するための一つの強みになります。まずは、自社で何ができるか、どのように推進すればより良いものになるか、検討するきっかけとなれば幸いです。

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