注目が集まるリカレント教育

2018年02月01日

政府が定めた働き方改革実行計画における主要なテーマのひとつとして、「リカレント教育」が取り上げられています。昨年12月には、茂木経済再生担当大臣が記者会見で「リカレント教育など専門教育の多様なプログラムを大幅に拡充していきたい」との意向を示しました。今回は、メディアでも取り上げられる機会が増えてきたリカレント教育について解説いたします。

リカレント教育とは
リカレント教育という言葉の歴史は古く、1973年にはOECDが『リカレント教育 -生涯学習のための戦略-』という報告書をまとめています。同書によれば、リカレント教育とは、「生涯学習を実現するために行われる義務教育以後の包括的な教育戦略であり、その特徴は、青少年期という人生の初期に集中していた教育を、個人の全生涯にわたって、労働、余暇など他の諸活動と交互に行う形で分散されることである」とされています。

リカレント教育のこれまでと、これから
何故、概念として半世紀近く前から存在するものが、今までは話題ともならず、また、今になって脚光を浴びているのでしょうか。
旧来の日本的雇用慣行においては、終身雇用や年功序列が特徴であり、キャリアを中断して職場外で就学することや、子育てが一段落してから職場に復帰することなどは、あまり一般的ではなく、そのためリカレント(recurrent = 回帰)ということ自体、殆ど問題となってきませんでした。
しかし、「2007年に生まれた子供の半数が107歳より長く生きる」とされる『人生100年時代』においては、人々は「教育・仕事・老後」という3ステージの単線型の人生ではなく、マルチステージ型の人生を送るようになります。現在政府は、「生涯を通じて切れ目なく、質の高い教育を用意し、いつでも有用なスキルを身につけられる学び直しの場が、安定的な財源の下で提供されることを目指す『人づくり革命』」を、急ピッチで進めています。
リカレント教育は人づくり革命の重要な位置を占めるものであり、誰にでも学び直しと新しいチャレンジの機会を確保することで、「いつでも学び直し・やり直しができる社会」を実現することを目指しています。具体的には、リカレント教育の抜本的な拡充、現役世代のキャリアアップ、中高年の再就職支援、様々な学校で得た単位を積み上げて卒業資格として認める仕組みの活用、といった環境整備が、雇用保険制度等の活用も含めて、夏に向けて検討されることになっています。

平成30年度予算案からみる人づくり革命
各省庁の予算案においても、教育に関連する予算が増加、または新たに計上されており、人づくり革命が単なるスローガンではないことが分かります。


さいごに

働き方改革の推進やAIの導入等により、労働の質を高めることがますます求められています。より高度な知識・技能を習得しキャリアアップを図ることは、離職者を含め全労働者共通の課題であるため、会社としてはこれまでの教育に加えて、リカレント教育や個人が主体的に学べる機会を提供することを視野に入れた教育体系を構築していく必要があります。

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