外国人労働者の雇用について

2017年04月03日

平成29年1月、厚生労働省は平成28年10月末時点での外国人雇用についての届出状況を公表しました。これによると、外国人労働者を雇用する事業所数は172,798カ所に上り、平成19年に届出が義務化されて以来、過去最高を更新しました。今回のニュースでは公表内容に関連して、外国人雇用に関する現状についてお伝えいたします。

1. 外国人雇用状況の届出制度の概要
外国人を雇用する事業主は、雇入れ・離職の際に、当該外国人労働者の氏名・在留資格・在留期間などについて確認し、ハローワークに届け出る義務を負います(この届出を怠ったり虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となります)。今回公表された情報は、この届出を集計したものです。

2. 外国人雇用の状況
平成28年10月末時点で、外国人労働者数は約108万人に達し、こちらも届出が義務化されて以来、過去最高を更新しました。外国人労働者数が増加した要因として、留学生の日本企業への就職支援の強化を含め、政府が進めている高度外国人材の受入れ拡大に伴う「専門的・技術的分野」の在留資格を持つ労働者が増加していることや、留学生の受入れ増に伴う「資格外活動」(留学生のアルバイト等)が増加していること等が挙げられます。

【在留資格別外国人労働者の割合】

3. 外国人技能実習制度に関する問題点
少子高齢化と人口減少が進行する日本では、持続的な成長のためにも、外国人労働者の受け入れ拡大を検討していかなければならないとして、議論が進められています。しかし、平成28年8月16日に厚生労働省が発表したプレスリリース『外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成27年の監督指導、送検の状況を公表します』によると、外国人実習生に対する労働基準関係法令違反が依然として増加傾向にあることが示されています。
資料によると、労基関係法令違反が認められた実習は、監督実施した事業場5,173カ所中、3,695カ所に上り、重大・悪質な違反による送検も46件に上ります。中には、月169時間の違法時間外労働を行わせていた事業場や、無資格でフォークリフトを運転させ死亡災害を発生させた事業場もあります。

【外国人技能実習生の実習実施機関に対する監督指導状況】

4. 最後に
現在、政府は「人手不足分野」と「高度人材」の2つの側面で外国人労働者の受け入れ拡大を検討しています。まずは介護分野で、国家資格の取得を要件に外国人が現場で働けるようにする制度を本年中に開始させます。また、サービス業に携わる外国人労働者についても、在留資格の取得条件を緩和する等の施策が予定されており、外国人労働者数は今後も増加していくと思われます。
今後は、人材の充足のために外国人労働者の雇用も視野に入れて考える企業が増えてくるかと思いますが、雇用の際には在留資格の確認や労働条件の通知などを確実に行わなければ無用なトラブルを抱えることにもなりかねません。外国人労働者の雇用を考える際は、受け入れの注意点について不備のないように、専門家に相談すると良いでしょう。

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