高年齢者活躍企業コンテスト(厚生労働省)
2022年11月10日
近年、少子高齢化が急速に進行し人口が減少しております。そのような状況下、経済社会の活力を維持するため、すべての年代の人々がその特性・強みを活かし、経済社会の担い手として活躍できるよう環境整備を進める必要があります。その一環として、70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とすることなどを内容とする改正高年齢者雇用安定法が昨年より施行されています。
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1.高齢者の人口と就業状況
2.高年齢者活躍企業コンテスト
3.さいごに
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1.高齢者の人口と就業状況
2022年の65歳以上の高齢者人口は、3627万人と、前年(3621万人)に比べ6万人増加し、過去最多となりました。総人口に占める割合は29.1%と、前年(28.8%)に比べ0.3ポイント上昇し、過去最高となりました。また、2021年の高齢者就業者数は、909万人とやはり過去最多となっています(下図参照)。
(総務省統計局「労働力調査」)
2.高年齢者活躍企業コンテスト
高齢者就業者の活躍の場を確保するため、企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか。厚生労働省では、意欲のある高年齢者がその能力を十分に発揮して働き続けられる職場づくりに関するアイデアの普及を目的として、「高年齢者活躍企業コンテスト」を毎年実施しております。以下に本年度の入賞企業の取り組みをかいつまんでご紹介いたします。
(食料品製造業 A社)
高年齢者が多いパート社員については、役務遂行レベルを定義したクラス制度、人事評価制度、時給制度を実施し、年2回の昇給を設けることで、パート社員の戦力化と定着を促進している。
(建設会社 B社)
高年齢社員の人間ドック費用を会社が全額負担することで社員の健康維持を図り、提携運動施設が無料で使用できるようにする等、体力づくりにも努めている。
ライブカメラ等の活用で、高年齢社員が現場から離れた場所でも、現地の監督者に適切な技術指導やアドバイスができるようになり、高年齢社員の移動負担、体力負担軽減や現場作業の危険回避にもつながっている。
(食料品製造業 C社)
承認された改善提案に報奨金を払う改善報告制度を高年齢者も含めた全職員
に運用しており、経験豊富な高年齢職員からの改善提案が多数採用され、業務の改善に役立っている。
(食料品製造業 D社)
タブレット端末を導入し、高年齢従業員の作業手順、作業方法を録画し、タブレットで閲覧でき、繰り返し作業風景を見ることで、若年者への技能伝承や、作業手順の見直しなどに役立っている。
(道路貨物運送業 E社)
定期的に経営層と面談を行い、家庭の事情や健康状態等、高年齢社員の希望に応じて、勤務時間や日数を選択できるよう勤務体制や業務負担の軽減を可能とし、長く働ける環境を整備している。
(高齢者介護サービス業 F社)
従業員の体調や能力と仕事をマッチさせるための「マッチングアドバイザー」を設置し、高年齢者も含めた従業員が相談できる環境を整え、無理なく勤務継続できる環境を整備している。
3.さいごに
高齢者就業者数をみるに、働く意欲のある高年齢者が、その能力を十分に発揮できるよう環境整備を図っていくことは、これから特に重要となっていくでしょう。
前述の事例を参考として、高齢者が年齢にかかわりなく働くことができるための体制、制度について検討してみてはいかがでしょうか。