『過労死等防止啓発月間』について
2017年11月01日
毎年11月は、過労死等防止対策推進法により『過労死等防止啓発月間』と定められており、厚生労働省では、過労死等をなくすための取組を行っています。
その中で『過労死等防止対策推進シンポジウム』を行い、全国48会場で周知啓発を図ると共に、『過重労働解消キャンペーン』によって、著しい過重労働や悪質な賃金不払残業などの撲滅に向けた監督指導等が行われます。今回は、月間において予定されている取組み事項の概要をご紹介いたします。
1.過重労働解消キャンペーン
厚生労働省では、『過労死等防止啓発月間』の一環として、『過重労働解消キャンペーン』の実施を計画・公表しました。本年11月1日から30日までを実施期間とし、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組を推進するため、以下のような取組みを集中的に行うものとしています。
(1)労使の主体的な取組促進
対象:使用者団体・労働組合
(2)労働局長によるベストプラクティス企業への職場訪問
対象:長時間労働削減に向けた取組みに積極的な企業など
(3)過重労働が行われている事業場などへの重点監督
対象:過労死労災のあった企業等(次項にて解説致します)
(4)電話相談の実施
対象:過重労働等の労働問題全般に関し相談事項のある方
(5)キャンペーンの趣旨などについて周知・啓発
対象:国民全体
(6)過重労働解消のためのセミナー開催
対象:国民全体
2.過重労働が行われている事業場などへの重点監督
重点監督の対象となるのは、以下のような事業場等です。
(1)長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等
(2)労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等
これらの事業場等に対し、以下の項目を重点的に確認すると共に、それぞれに応じた監督指導が行われます。
①時間外・休日労働が、「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36 協定)の範囲内であるか等について確認し、法違反が認められた場合は是正指導
②賃金不払残業が行われていないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導
③不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導
④長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導
さらに、重大・悪質な違反が確認された場合は、送検、および公表が行われることになっています。
3.さいごに
昨年11月の『過重労働解消キャンペーン』では、7,014事業場に対し重点監督が行われ、4,711事業場で労働基準関係法令違反が確認されました。その内、違法な時間外・休日労働が2,773事業場(39.5%)と多数を占めています。
本年から、厚生労働省が労働基準関係法令違反を起こした企業について積極的に企業名を公表するようになりました。それにより違反企業が負う社会的な損失は莫大なものになるでしょう。
今回の『過労死等防止啓発月間』をきっかけとして、自社の労働時間を含めた労働環境について、見直すきっかけとしていただければ幸いです。