ES(従業員満足度)を高めるために相談体制を見直しましょう

2024年10月11日

柔軟な働き方の推進の実現に向けて

会社の価値を高めるためにはCS(顧客満足度)を高める前に、従業員の満足度を高める必要があると言われています。

なぜなら、従業員の生産性向上や貢献度を高めなければ、提供するサービスや商品の品質に悪影響を及ぼすからです。

もし、ES(従業員満足度)が低い状態ですと、遅刻や欠勤率の増加、不満退職による離職者の増加、自己成長意識の低下、顧客情報や機密情報の漏洩などのリスクがあります。

また、国の政策としては、人口減少に伴う労働力人口の減少を抑止するため、就職が困難な人に対する支援や育児・介護と両立できる制度を整えています。

2024年5月改正の育児・介護休業法では、柔軟な働き方を実現するための措置として、次の両立支援制度が設置されました。

【柔軟な働き方を実現するための措置の義務づけ】[2025年10月1日施行]

3歳以上小学校就学始期前までの子を養育する労働者が選択できる措置として、以下の措置のうち、2以上の措置を講じることを会社に義務づけ

① 始業時刻変更等の措置

② 在宅勤務等の措置

③ 育児時短勤務

④ 新たな休暇の付与

働き方改革の一環として、テレワークや時差出勤制度が導入されましたが、育児・介護との両立に有効であるという見方が強まってきています。

また、これまで導入されていた育児のための短時間勤務制度も、利用者の保育環境や収入等を考慮し、必ずしも6時間勤務というような定めはありません。

法定でありながら、会社の実情に応じて制度の導入を取捨選択し、より柔軟に制度運用を行う必要があります。

そして一人ひとりの働き方の満足度を高めるために、会社は従業員の要望をヒアリングすることに努めなければなりません。

ですので、今回の法改正に伴う会社の制度見直しとその運用は、これまで以上に困難を極めるものとなるでしょう。

 

両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)とは何か

厚生労働省は、柔軟な働き方を実現するための措置を導入する会社とその制度を利用する従業員を支援ための助成金を設置しています。

ここでは、2024年度に新設された両立支援制度等助成金の柔軟な働き方選択制度等支援コースについてご紹介します。

先ほどの法改正の内容を先取りするように、当該助成金は、柔軟な働き方選択制度等に関する2つ以上の制度を導入し、従業員がそのうち1つの制度を利用した場合支給されます。

2つ以上制度を導入し、その制度を利用した従業員1人につき20万円支給。

3つ以上制度を導入し、その制度を利用した従業員1人につき25万円支給。

同時に、厚労省運営サイト「両立支援のひろば」において前年度の男性従業員育児休業率、女性従業員育児休業率、(男女別)育児休業の平均取得日数を公表すると、2万円が加算されます。

支給申請の流れは、以下の通りです。

① 就業規則等に柔軟な働き方選択制度等を記載

② 「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」を策定し、制度利用者の就業環境の整備とキャリア形成支援を行うことを周知

③ 制度利用予定者に面談を行い、それに基づき支援プラン策定

④ 制度利用開始日から6か月を経過後、申請

支給要件や実情にあった計画の相談など助成金支給に関するお問い合わせは、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)となります。

ここで着目したいのが、③の面談とプラン策定についてです。

当該助成金は、面談シートと支援プランのいずれも様式及びその記入例が公表されています。

詳細は、両立支援等助成金支給申請の手引き(2024(令和6)年度版)の159~160頁をご参照ください。

面談は、単なる制度の希望利用期間を記入するだけではありません。

子どもの保育状況から出張等遠距離移動に関する配慮、代替業務に関する要望、そして制度利用後の就業イメージまで、ヒアリング項目は全部で13個あります。

利用する従業員の復帰後のキャリア支援まで視野に入れることは、退職や転職を防ぐことにつながります。

また、支援プランでは、「子どもの保育園の行事予定などを定期的に共有してもらう」「業務マニュアルの作成」「誰もが休暇を取得しやすい雰囲気の醸成」など、制度利用者本人を支えるほかの従業員とも協力体制が構築できるような具体例が記載されています。

面談と支援プラン策定のプロセスは、当該助成金を申請しなくても参考になります。

こうした取り組みは、ES(従業員満足度)を高めることにつながっていくでしょう。

 

新たな相談体制の構築を

従業員の満足度を測る指標は多様化し、本人の意向を確認することは不可欠となっています。

近年ですと、キャリア形成のための相談やメンタルヘルス不調で休職している従業員の心のケアなど、カウンセリングが注目されています。

一方、育児・介護休業制度の利用のための相談体制はどうでしょうか。

会社と従業員の信頼関係を深め、会社への貢献意欲を高めるための新たな相談体制を整えていく必要性は今後ますます高まっていくでしょう。

当社では、育児・介護休業法の改正に伴う就業規則等の見直しや、従業員の意向確認とその手続き等も承っております。

お気軽にお問い合わせください。

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