本年度の助成金の動向
2019年06月01日
国の助成金は、予算に合わせて年度当初に大きな改定が行われます。今年度の厚生労働省の助成金のポイントは、不正受給対策の強化と働き方改革を支援するための助成金の新設です。他にも、統合・廃止されるものが複数ありますので、あわせて概説してまいります。
1.見直しのあった助成金
昨年度から新設・廃止・統合・見直しなどの動きがあったのは以下の助成金です。支給申請を検討していたものがこの中にあれば、どのような変化があったのか、厚生労働省のHPなどで詳細をお調べいただくと良いでしょう。
※厚生労働省『雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案について【概要】』から抜粋
2.不正受給対策の強化
以前から、雇用関係助成金の不正受給に対しては、不正内容・事業主名などの公表や向こう3年の支給停止、悪質な場合には刑事告発などの対策がされてきましたが、それらに加え、本年度からは以下の対策も開始されました。
① 不正受給の抑止強化
不正受給の返還に際し、現在、元本と延滞金を請求しているところ、新たに不正受給額の20%に相当する額以下の金額納付を命ずることができる
② 不支給期間の延長・対象の拡大
不正受給を行った事業主に対する不支給期間を現在の3年間から5年間に延長するとともに、不正受給を行った事業主の役員等が他の事業主の役員等となっている場合は、当該他の事業主に対しても、5年間雇用関係助成金を支給しない
③ 不正を行った社会保険労務士、代理人及び職業訓練実施者への対応
連帯債務者として不正受給の返還請求、氏名の公表、および5年間の
助成金申請を不可とする
3.働き方改革を支援する新しい助成金
前掲の図にも記載されていますが、人材確保等支援助成金の新コースとして『働き方改革支援コース』が追加されました。この助成金は、働き方改革に取り組む上で人材を確保することが必要な中小企業が、新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を図る場合、以下の金額が助成されるものです。
なお、この助成金の対象となるのは、『時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース・勤務間インターバル導入コース・職場意識改善コース)』の支給を受けた中小企業となります。こちらの助成金は時間外労働時間数縮減に向けた取組みに掛かった費用の一部が助成されるものです。