精神疾患の原因となる「こころの健康」への理解について

2017年07月03日

4月18日、英国のウィリアム王子と歌手のレディー・ガガさんがメンタルヘルスについて話し合う動画がFacebook上で公開され、話題となりました。動画の中で王子は「心の健康について、体の健康と同じように普通のことだと受け入れるべき」と訴えています。本ニュースではメンタルヘルスへの向き合い方や、企業がこの問題にどう関わるべきかを取り上げます。

1.誰もが苦しんでいる『心の傷』
王子は「一見すると精神疾患とは無縁に見える著名人たちも精神的な問題で苦しんでいること」について動画公開を通じて発信しています。「事業の成功者や組織のリーダーなどは精神的な問題とは無縁だ」と思われがちですが、これにより、発生要因を満たせば誰にでも起こりうることであることを広く世間に知らしめました。それでは次に、なぜメンタルヘルスの問題が発生するのかについてご紹介いたします。

2.精神疾患の発生要因の理解
精神疾患の発生は、病気になりやすいかどうかの『脆弱性』と、病気の発症を促す『ストレス』の組合せによって示されるストレス脆弱性モデル(右図:厚生労働省~心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会報告書より)で説明されます。

モデルの横軸の「脆弱性」は病気へのなりやすさを示しています。これには、その人の生まれ持った素質(先天的な要素)と学習・訓練などによる生まれてからの能力やストレスへの対応力(後天的な要素)が関連するといわれています。縦軸はストレスの強さを示しています。何をストレスと感じるかは人によって異なりますが、家庭内のことであったり、人間関係であったり、仕事上の関係であったりもします。この2つの軸のバランスで精神疾患は発症すると考えられています。
そのため、横軸の「脆弱性の小ささ」だけを取り出して、「あいつはタフだから大丈夫だろう」と考えたり、あるいは縦軸の「ストレスの小ささ」だけを取り出して「この程度のことなら平気だろう」といった自身の価値基準で判断したりすることは、とても危険です。

3.企業がとるべき対策について
社内でメンタルヘルス対策を進めていくためにも、従業員のこころの健康に関する理解が最も重要になってきます。
厚生労働省の『メンタルヘルス指針』では、企業は、メンタルヘルスケアを推進するに当たって、次の事項に留意することが重要であるとしています。

①心の健康問題の特性
心の健康については、客観的な測定方法が十分確立しておらず、その評価は容易ではなく、さらに、心の健康問題の発生過程には個人差が大きく、そのプロセスの把握が難しい。また、心の健康は、すべての労働者に関わることであり、すべての労働者が心の問題を抱える可能性があるにもかかわらず、心の健康問題を抱える労働者に対して、健康問題以外の観点から評価が行われる傾向が強いという問題や、心の健康問題自体についての誤解や偏見等解決すべき問題が存在している。

②労働者の個人情報の保護への配慮
メンタルヘルスケアを進めるに当たっては、健康情報を含む労働者の個人情報の保護及び労働者の意思の尊重に留意することが重要である。心の健康に関する情報の収集及び利用に当たっての、労働者の個人情報の保護への配慮は、労働者が安心してメンタルヘルスケアに参加できること、ひいてはメンタルヘルスケアがより効果的に推進されるための条件である。

③人事労務管理との関係
労働者の心の健康は、体の健康に比較し、職場配置、人事異動、職場の組織等の人事労務管理と密接に関係する要因によって、より大きな影響を受ける。メンタルヘルスケアは、人事労務管理と連携しなければ、適切に進まない場合が多い。

④家庭・個人生活等の職場以外の問題
心の健康問題は、職場のストレス要因のみならず家庭・個人生活等の職場外のストレス要因の影響を受けている場合も多い。また、個人の要因等も心の健康問題に影響を与え、これらは複雑に関係し、相互に影響し合う場合が多い。

メンタルヘルス対策を進めていくためには人事労務担当者に加え、産業医や看護師・保健師・臨床心理士などの産業保健スタッフの協力が必要です。しかし、専任の人事労務担当者等を置けない企業は、日常の業務に追われて未然予防という観点でメンタルヘルス対策に着手することが難しいものです。また、専任の人事労務担当者等を置いている企業であっても、他の先行事例や改善事例などを学ぶ機会が少ないため、自社に合った制度を作りブラッシュアップを図っていくことが困難であったりします。
まず、取組を始めることは当然重要になりますが、必要に応じて外部の専門家を活用するなど、様々な情報源を活用しながら進めることも、自社に合った制度を作る上で重要なことです。

▲ページのトップに戻る