高年齢労働者の労災が増加しています

2025年01月14日

厚生労働省が発表した直近の「高年齢労働者の労働災害発生状況」によると、
労働者災害による死傷病者数のうち、60歳以上の割合が年々増加傾向にあります。

令和5年に労働災害で死亡、または4日以上休業した人は計135.371人で、
このうち60歳以上の人が39.702人、全体の29.3%を占めています。

出典:厚生労働省「令和5年 高年齢労働者の労働災害発生状況」

https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001099505.pdf)より

 

この結果は、全年齢に占める60歳以上の割合の増加と比例していることも要因の1つですが、
特に加齢による身体機能の低下が考えられます。

具体的な事故の型別では「墜落・転落」や「転倒による骨折等」の件数の増加が年齢の上昇と共に顕著に現れております。

出典:同上

また同報告書によると「休業見込み期間は、年齢が上がるにしたがって長期間となっている」為、万が一労働者災害が発生した場合、企業への損失はますます無視できないものとなっております。

その為、今一度高齢者の労務管理の見直しを検討し、労働災害への対策を講じてはいかがでしょうか。

 

厚生労働省では「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」を定めており、
当ガイドラインで定める「事業者に求められる取り組み」は具体的には下記の通りです(以下抜粋して紹介します)。

 

①安全衛生管理体制の確立等

(高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害発生リスクについて、災害事例やヒヤリハット事例から洗い出し、対策の優先順位の検討すること)

 

➁職場環境の改善

(勤務形態や勤務時間を工夫(短時間勤務、隔日勤務、交替制勤務等の制度設計の検討や定期的な休憩の導入や作業休止時間の運用を図ること)

 

③高年齢労働者の健康や体力の状況の把握

(労働安全衛生法で定める雇入時および定期の健康診断を確実に実施し、健康診断の対象者とならない労働者に対しても事業場の実情に応じて健康診断を実施するよう努めること)

 

④高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応

(個々の労働者の健康や体力の状況に応じて、安全と健康の点で適合する業務をマッチングさせるよう努めること)

 

⑤安全衛生教育

作業内容とリスクについて理解させるため、時間をかけ、写真や図、映像等の文字以外の情報も活用。再雇用や再就職等により経験のない業種、業務に従事する場合、特に丁寧な教育訓練を行うこと)

 

当ガイドラインでは、「事業者は高年齢労働者の就労状況や業務の内容等の実情に応じ、国や関係団体等による支援も活用して、実施可能な労働災害防止対策に積極的に取り組むように努めること」とされております。

 

合わせて厚生労働省の労働政策審議会安全衛生分科会(令和6年11月22日開催)では、「高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、適切な作業の管理その他の必要な措置を講じることを事業者の努力義務とする」との報告案が盛り込まれました。

今後の動向として、事業者が担うべき高年齢労働者に対する安全と健康確保の取り組みは更に強化される蓋然性があると言えるでしょう。

 

当社では現状の課題に丁寧に寄り添いながら、解決法策等をご提案させていただきます。

お気軽にお問い合わせください。

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