実務対応 Q&A【育休中の副業について】
2025年01月14日
Q.当社では副業について副業の内容を審査し許可制としております。
この度従業員から育児休業中に別の会社(法人)で副業をしたいと申し出がありました。
育休中の副業については今までにないケースの為、どのように対応したらよろしいでしょうか。
A.基本的には通常の副業の申出と同様に副業の内容を考慮し、副業を許可するか検討しましょう。
まず、法令にて育児介護休業中に他の事業主の下で就労することについては規定されておりません(ただし、育児介護休業法の趣旨は「1歳に満たない子を養育すること」ですので、その期間中に他の事業主の下で就労することは当該趣旨にそぐいません。)。
また副業に関しては厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」にもあるように、「裁判例を踏まえれば原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。」とされていることを鑑みると、副業・兼業の内容を一切考慮せず単に育児休業中だからという理由だけで一方的に許可しないのは望ましくありません。
したがって会社は、基本的には通常の副業と同様に①・➁を考慮しつつ、更に対象従業員と③・④・⑤について十分に話し合いながら副業を許可するか検討しましょう。
①副業・兼業を禁止できると考えられる場合
例外的に副業・兼業を禁止又は制限ができるとされるものは下記の通りです。
1.労務提供上の支障がある場合
2.業務上の秘密が漏洩する場合
3.競業により自社の利益が害される場合
4.自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
まずは副業の内容が上記に該当する恐れがあるかどうか確認しましょう。
➁就業規則の規定の確認
副業・兼業を禁止、制限を設ける場合は、就業規則等の規定であらかじめ定めておく必要があります。
就業規則等の規定と確認しながら、当該申出に係る副業の内容と照らし合わせて検討しましょう。
③副業先の就業状況の把握
通常の副業と同様に安全衛生法により従業員の健康を確保する義務があることからも、副業先の就業状況を把握する必要があります。育児休業期間中においてもその義務は免れませんので、当該従業員との定期的・適切な連携が必須となります。
下記⑤も勘案しながら当該従業員との連携方法についても確認しましょう。
④社会保険料への影響
育児休業中であっても通常の副業との対応と変わりありません。副業先の就労条件によっては二以上事業所勤務届を提出する際の対応を求められる可能性もございます。
また保険料免除に関しては本業での社会保険料免除はそのまま適用されると解されております。
⑤育児休業給付金への影響
副業先の収入が育児休業給付金に影響することはありませんが、
育児休業給付金の支給対象期間中の就業日数や時間数については自社・副業先両方を算定する必要があります。
1支給単位期間に10日を超えて(10日以下の場合は月80時間を超えて)就労した場合は、育児休業給付金は支給されません。
したがいまして給付金の申請時には、副業先の就業日数や時間数についても確認しなければなりません。
上述したように育児休業中の副業については法の趣旨からは反しますが、それだけを条件に副業を拒否することは望ましくありません。
当社では就業規則の見直し、育児休業給付金や保険料免除含む労働保険・社会保険の手続き代行をしております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。