中小企業の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げ

2023年05月10日

月60時間を超える時間外労働に対して、使用者は50%以上で計算した割増賃金を支払うことが中小企業に適用されることになりました。2010年から大企業でも適用された月60時間超の割増賃金率は、2023年4月1日より事業規模を問わず揃うこととなりました。

2023年4月1日からの残業割増率

60時間 以下 25%以上
60時間 超  50%以上

対象・・・すべての企業(中小企業の猶予措置は終了しました)

 

 

■代替休暇について

労働者の健康を確保するため、50%の割増賃金の支払に代えて代替休暇を付与することができます。

代替休暇は1日または半日単位で付与することができます。代替休暇を付与することで、代替休暇を与えた日に対しての有給休暇支払率を25%とすることが出来ます。

 

■計算方法

(1か月の時間外労働時間-60時間)×換算率

換算率・・・代替休暇を取得しなかった場合の割増賃金率(50%以上)-代替休暇を取得した場合の割増賃金率(25%以上)

※法定の最低ラインで考えると、換算率は25%(50%-25%)となります。

 

 

■計算事例

1か月の時間外労働を80H ∧ 換算率を法定最低ラインとすると

(1か月の時間外労働時間-60時間)×換算率

(80H – 60H = 20H) × 25%= 5H が 代替休暇の時間数となります

 

 

■代替休暇取得に関しての注意

・導入にあたり、労使協定の締結(※1)必要です。

・個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思により決定されます。

・代替休暇は1日単位か半日単位で取得することになります(実務的には端数切上にすると計算がしやすい)

・1か月60時間を超えた月の末日の翌日から2か月間以内の期間で取得すること

 

※1 労使協定で定めること

①代替休暇の時間数の具体的な算定方法

②代替休暇の単位

③代替休暇を与えることができる期間

④代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日

 

 

 

(参考資料)https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/091214-1_03.pdf

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