2026年4月改正安衛法施行 高齢労働者の労災防止が「努力義務」に

2025年09月26日

2026年4月改正安衛法施行 高齢労働者の労災防止が「努力義務」に

改正労働安全衛生法の施行により、来年4月1日から高齢労働者(60歳以上)に対する労災防止措置が、企業の努力義務として法的に位置づけられます。「転倒・転落事故」のリスクが高まる中、予防対策の強化は企業にとって必須課題です。今回は、法改正の背景から実務対応までを整理しましたので、ご確認いただければと思います。

〇【背景】
高年齢労働者が労災死傷者に占める割合は約29.3%と、全体に比して高く、重症化・長期休業の傾向も明らかです。
加齢に伴う筋力・バランス低下が事故の一因となっています。

〇【法改正ポイント】
改正法により、「高年齢者の特性を配慮した作業環境の改善や、作業管理など必要な措置を講ずるよう努めること」が、企業の努力義務として2026年4月1日から施行されます。具体的な指針は今後策定されることになっています。

〇【対策例等】
職場環境 : 滑り止め措置、動線改善、手すり設置などの設備改善
業務管理 : 重作業の軽減、作業時間や休憩の最適配置
健康支援 : 転倒予防体操や定期的な体力評価の導入
補助金活用: 「エイジフレンドリー補助金」を活用し、対策費用を軽減
規程整備 : 就業規則・安全衛生規程、作業手順書の見直し、高齢労働者向け安全マニュアルの作成

〇【実務フロー】
・業務ヒヤリハットの現状把握
・専門家による現場評価と改善提案取得
・安全マニュアルへの反映と従業員教育
・補助金申請(10月末期限に要注意)

〇【企業にとってのメリット】
事故削減により補償コストの低減、安全配慮への社外評価向上、従業員の安心感増進など、複合的な利益が期待されます。

高齢労働者の労災防止は義務であるとともに、企業の持続的成長と働く人々の安全確保のために不可欠な取組みです。
高年齢者就業確保措置(70歳までの就業機会確保)を講じている企業においては、特に本制度の趣旨を踏まえた対応が必要になります。
早期の準備開始により、法施行時の混乱を避け、安全で働きやすい職場環境の構築が可能となりますので、不明な点やお困りなことがございましたら、当社までお気軽にご相談ください。
よろしくお願いいたします。

▲ページのトップに戻る