
令和6年度労基法違反企業の公表から読み取る人事労務の留意点
2025年08月06日
厚生労働省から令和6年度に労働基準法違反により書類送検された企業リストなどが公表されました。この情報から読み取れる傾向と対策について解説させていただきます。
■令和6年度労基法違反企業の傾向分析
【違反内容の傾向】
今回の公表データを分析すると、主に以下の違反が目立ちました。
・労働時間関連 約40%(36協定超えの時間外労働、休日労働、変形労働時間制の不適切運用等)
・賃金関連 約35%(残業代未払い、割増賃金の計算ミス、最低賃金未満の支払い等)
・労働条件明示 約15%(労働条件通知書の未交付、虚偽記載、不十分な内容等)
・労働安全衛生 約10%(健康診断未実施、危険作業の安全対策不備等)
【業種別の特徴】
・建 設 業 ・・・ 労働安全衛生法違反、長時間労働、休日労働
・製 造 業 ・・・ 36協定超過、割増賃金未払い
・運 輸 業 ・・・ 改善基準告示違反、長時間労働
・IT・サービス業 ・・・ 残業代未払い、労働時間管理不備
・飲食・小売業 ・・・ 最低賃金違反、労働条件明示不備
【送検に至った要因】
多くのケースで共通している要素は以下の通りです。
① 違反の常態化 : 一時的でなく継続的な違反
② 是正指導の無視 : 労働基準監督署からの是正勧告に対する不十分な対応
③ 意図的な隠ぺい : タイムカードの改ざんや二重帳簿など
④ 悪質性の高さ : 長期間・多額の未払い、健康被害の発生
■ 人事労務担当者が今すぐ確認すべきポイント
労基署の監督指導はますます厳格化しています。以下のチェックリストで自社の状況をご確認いただければと思います。
■ 特に注意すべき最近の監督指導の傾向
① テレワーク環境下の労働時間管理
在宅勤務者の労働時間把握不足による違反が増加しています。客観的記録による管理が必須です。
② 同一労働同一賃金への対応
正社員と非正規社員の不合理な待遇差が厳しく指摘されています。
③ パワハラ防止法対応
パワハラ事案の放置が労基法違反と併せて摘発されるケースが増加しています。
④ 副業・兼業者の労働時間通算
複数就業者の労働時間管理不備による違反が見られます。
■ 社労士としてのサポート内容
当社では、以下のサポートで労基法違反リスクを回避するなどのお手伝いが可能です。
ぜひこの機会にご検討してみてください。
【予防的サポート】
① 労務診断サービス
現状の労務管理体制を点検し、潜在リスクを洗い出します。
② 書類・規程類の見直し
36協定、就業規則、労働条件通知書など各種書類の適法性チェックと修正案の提示を行います。
③ 労働時間管理システムの導入支援
客観的な労働時間記録を確保するためのシステム導入をサポートさせていただきます。
【労基署対応サポート】
① 是正報告書の作成支援等
労基署から指摘を受けた場合の是正報告書等の作成をサポートさせていただきます。
② 改善計画の策定
長期的な労務管理体制改善のためのロードマップを一緒に策定させていただきます。
■ おわりに
労働基準法違反による書類送検は、企業イメージの大きな損失だけでなく、罰則適用のリスクも伴います。当該公表データを教訓に、自社の労務管理を今一度見直し、コンプライアンス強化に取り組んでいただければと思います。
「労務管理に不安がある」「労基署対応に自信がない」という場合は、ぜひ当社にご相談くださいますようお願いいたします。