フレックスタイム制における勤怠管理の注意点

2024年09月12日

フレックスタイム制の導入にあたって

フレックスタイム制は変形労働時間制の一種で、一定の期間の総労働時間をあらかじめ定めておき、その範囲内で、各日の始業及び終業の時刻を従業員が決めることができる制度です。

また、あらかじめ定めた期間を清算期間と呼びます。清算期間は3か月以内と定められています。

労働基準法第32条では、労働時間を定めています。

(労働時間)

第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

法定の労働時間は、どの事業場でも共通して守らなければならず、もし時間外労働を行う場合は、あらかじめ労使協定で時間外労働に関する定めを締結し、労働基準監督署へ届出をしなければなりません。

そして、法定労働時間を超えて働いた労働時間については、割増賃金を支払う必要が生じます。

しかし、第32条の2、第32条の3では、労使協定に基づき、法定労働時間を変形して働かせることができることが規定されています。

清算期間全体の労働時間が週平均40時間を超えないこと、かつ、総労働時間を超えない範囲で労働させることができます。

また、清算期間の上限が1か月を超える場合には、上記の上限規制に加えて、1月ごとの労働時間が週平均50時間を超えない範囲で労働させることができます。

もともとは、各日や各週において、繁閑の差が大きい業務特性のある事業場や人手不足の事業場でシフト制を組むために変形労働時間制を採用することが多かったのですが、フレックスタイム制が導入されてから、変形労働時間制は柔軟な働き方を実現するために採用されることが増えました。

フレックスタイム制の導入をご検討の方は、就業規則の改正と労使協定の締結(1か月を超える場合は、労使協定の締結・届出)が必要となります。

賃金の算定方法

フレックスタイム制を導入した場合には、清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働となります。

なお、清算期間における法定労働時間の総枠は、40時間(1週の法定労働時間数)に清算期間の暦日数を7日で除した時間数となります。

たとえば、清算期間が10月1日~31日における総枠は、上記の計算式で算出すると177.1時間となります。この総枠を超えた時間外労働時間に対し、割増賃金が発生します。

また、清算期間が10月1日~12月31日における総枠525.6時間の場合、1月の労働時間が177.1時間を超えたとしても、翌月、翌ゝ月で労働時間を調整して総枠を超えない実労働時間であれば、割増賃金は発生しません。

反対に、総労働時間を満たさない場合はどうなるのでしょうか。

仮に、清算期間が1か月で177.1時間の総枠のうち、実労働時間が166時間だとすると、不足した11.1時間分の賃金を控除するか、不足分の労働時間を翌月の総枠の範囲内で繰り越すこととなります。

育児・介護との両立支援制度として積極的に導入しましょう

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、フレックスタイム制を採用している企業割合は6.8%です。

コロナ感染拡大の影響により、テレワークが促進された結果、採用率は24.8%(国土交通省「令和5年度テレワーク人口実態調査」)とフレックスタイム制よりも多くの企業で採用されています。

いずれも柔軟な働き方を実現する方策として、厚生労働省では、両立支援等助成金を設置して導入を支援しています。

2025年4月施行の改正育児・介護休業法では、3歳以上小学校就学始期前までの子を養育する労働者が選択できる措置として以下の2以上の措置を講ずることが義務付けられました。

① 始業時刻変更等の措置(フレックスタイム制含む)

② 在宅勤務等の措置

③ 育児短時間勤務

④ 新たな休暇の付与

⑤ その他厚生労働省で定めるもの

当社では、就業規則及び育児・介護休業規程を見直すお手伝いを行っております。お気軽にお問い合わせください。

 

 

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