福利厚生制度の現状とカフェテリアプランについて

2021年10月11日

福利厚生制度の現状とカフェテリアプランについて

先ごろ大手のコンビニエンスストアチェーンが、ストアスタッフ向けの福利厚生サービスサイトの運用を開始すると発表しました。商品の特別価格販売や健康をテーマとした動画の配信などを行い、ストアスタッフの雇用拡大や雇用の定着化につなげることが狙いとされています。

従来、企業が行う福利厚生は、慶弔給付、財産形成、食事・住宅等の提供あるいは補助が中心でした。しかし、社会情勢やライフスタイルの変化に応じて、最近では両立支援や健康管理、自己啓発に類するサービスの導入が広がっています。本稿では、福利厚生制度のアンケート調査結果をもとに、導入されている施策を概観し、併せて近年注目されているカフェテリアプランについてご紹介いたします。

1.福利厚生制度の実施状況

独立行政法人労働政策研究・研修機構のアンケ―トで、福利厚生制度について、「ある」と答えた割合、導入されている施策は次のとおりです(抜粋)。

■法定外福利厚生制度・施策

(独)労働政策研究・研修支援機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」2020年7月

「慶弔休暇制度」や「慶弔見舞制度」は回答した企業の9割近くが「ある」と回答しています。その他、健康管理に関連した「病気休職制度」「人間ドッグ受診の補助」はそれぞれ62.1%、44.6%、ワークライフ支援に関連した「短時間勤務制度」「治療と仕事の両立支援策」はそれぞれ36.4%、20.0%で「ある」と回答しており、一言に福利厚生制度と言っても、内容は多岐にわたることが伺えます。

 

2.カフェテリアプラン

近年注目されているのが、福利厚生予算をポイントの形で従業員に付与し、そのポイントの範囲で福利厚生制度を選択・利用してもらう「カフェテリアプラン」です。カフェテリアプランのメリットとしては「福利厚生費をポイント費用の範囲内に抑えてコストを管理できる」「利用者の多様なニーズに対応できる」といったことが挙げられます。

■カフェテリアプランの実施・導入状況

(独)労働政策研究・研修支援機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」2020年7月

上表のとおり従業員規模に比例して実施・導入の割合が高くなっていますが、全体の導入割合は1.3%と、他の施策等に比べれば実施・導入割合はまだまだ低いのが現状のようです。言い換えれば、特に中小企業にとっては、他社と差別化を図った福利厚生を導入できる余地があるということになります。

 

3.おわりに

福利厚生制度の実施・導入については、「従業員の仕事に対する意欲の向上」「人材の確保と定着」が主な目的となっていました。その傾向は今も続いていますが、将来に向かっては「企業への信頼感やロイヤリティの醸成」や「従業員が仕事に専念できる環境づくり(生活の安定等)」といった目的が注目されているようです。これは働き方改革と合わせて重要なキーワードとなった「エンゲージメント」「柔軟な働き方」などにつながることではないでしょうか。

働き方改革に取り組まれている企業は多いかと思います。それと合わせて、福利厚生の在り方を見直し、より従業員に資するものとする福利厚生改革も検討してみてはいかがでしょうか。

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