雇用・労働分野の助成金について

2018年06月01日

人事労務分野に関する助成金の改正情報が出揃いました。今年度は、働き方改革を加速させるべく、従業員の処遇改善に関する措置や、育児・介護・病気と仕事との両立を支援する措置を行った場合等については、受給要件の緩和・支給額の拡充など、企業にとってより実効性の高い内容が盛り込まれるようになっています。
ここでは、厚生労働省の『平成30年度雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)』等をもとに、本年度の助成金の全体像を概説いたします。

雇用関係助成金
優先順位の低い要件の見直しや申請回数の削減、助成額の定額化等により、簡略化が図られました。また、雇入れ・両立支援・人材育成・障害者雇用等といった各助成金のジャンル別に整理統合が行われました。本年度の雇用関係助成金は、18助成金・61コースで構成されています。

後述の労働条件等関係助成金との違いとしては、①中小企業以外の事業主も対象となること(支給額等に差あり)、②通年で申請を受付けていること、などが挙げられます。

労働条件等関係助成金
前年度までそれぞれ単独のものとして取り扱われていた助成金が、『労働条件等関係助成金』という名称で類型化されています。本助成金群は以下の5助成金・15コースで構成されます。

業務改善助成金
最低賃金の引上げと生産性向上のための設備投資を共に行った場合に、設備投資費用の一部を助成

時間外労働等改善助成金(職場意識改善助成金が改称)
 時間外労働の上限設定や勤務間インターバル制度などを導入するために出費した外部コンサル料や労務管理機器購入費等の一部を助成

受動喫煙防止対策助成金
喫煙室等の設置などを行った場合に、経費の一部を助成

産業保健関係助成金
ストレスチェックや職場環境改善にかかった費用の実費額を助成

中小企業退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成
中退共に加入する(またはしている)事業主に、掛金の一部を助成

前述の労働条件等関係助成金との違いとしては、①中小企業事業主が対象、②予算の都合により申請期間中の受付締切りの可能性があること、などが挙げられます。

さいごに
雇用・労働分野の助成金は、対象や要件が多岐にわたります。また、事前に計画書の作成・提出が必要となる場合があるなど、申請までの準備にも相応の時間が必要になりますので、申請を検討されるものがありましたら、早い段階でおおよその目星を付けておく必要があります。なお、助成金は、要した費用の一部が助成されるものがほとんどであり、助成金で儲かることは、まずありえません。
受け取れる金額はあくまでも「ご褒美」のようなものと捉え、従業員の処遇改善や雇用環境の整備など、本来の目的を見失わないことが何よりも大切です。

 

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