生活習慣病予防から健康経営を始めてみませんか

2022年02月10日

2月は日本生活習慣病予防協会が定める「全国生活習慣病予防月間」です。生活習慣病は、医療費の約3割、死亡者数の約6割を占めており、労働の現場でも無視できないものとなっています。そこで、生活習慣病の予防・改善も含めて、企業が従業員の健康をサポートする「健康経営」は、近年関心が高まっております。

本稿では、健康経営のメリットなどについて、経済産業省が取りまとめた「健康経営の推進について」をもとにお伝えいたします。

1.健康経営・健康投資

経済産業省が示す健康経営とは、「従業員などの健康保持・増進の取り組みが、将来的に収益性などを高める投資であるとの考えのもと、健康管理を経営的な視点から考え、戦略的に実施すること」とされており、健康投資とは、「健康経営の考え方に基づいた具体的な取り組み」とされています。

企業の経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことで期待される効果は、以下の図でまとめられています。

2.採用・定着との関係性

就活生及び就職を控えた学生を持つ親に対する、健康経営の認知度及び就職先に望む勤務条件等についてのアンケート結果によれば、「どのような企業に就職したいか」「どのような企業に就職させたいか」の問いに対し、「従業員の健康や働き方に配慮している」は、特に高い回答率となっています。また、健康経営をアピールすることで、就活生が大幅に増加する、内定辞退率が減るといった反響もあるようで、労働市場において優秀な人材を確保する点でも、有意な効果が期待できそうです。

また、「人材の定着率」についても、その効果は顕著に確認できます。健康経営度調査の分析結果によれば、「健康経営度の高い企業の方が離職率は低く、2019年における全国の一般労働者の離職率と比較しても低い傾向にある」ことが明らかにされています。

<健康経営銘柄、健康経営優良法人における離職率>

(出所:経済産業省「健康経営の推進について」)

 

3.さいごに

少し前の調査になりますが、2019年に公表された東京商工会議所の調査によると、中小企業における健康経営の取り組みは、まだそこまで進んでいないようです。そして、実践するための課題としては「どのようなことをしたらよいか分からない(指標がない)」という回答が1位となっております。

先の資料から新型コロナウイルス流行下における取り組み事例をご紹介すると「1日15分、各自で定めた目標をもとにスポーツ活動を実施」「食習慣を見直すきっかけとして在宅勤務を捉え、積極的な情報提供を実施」というシンプルな内容も上がっています。

「健康経営」を大げさなものと捉えずに、例えば「食事に気をつける」「運動する」など身近で手軽な生活習慣病予防の取り組みを実践することで、まずは従業員の健康に目を向けるということが、「健康経営」に着手し進めていく第一歩となるのではないでしょうか?

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